「……あのさ、あなたは歌わないの?」

「……あ、はい。あんまりカラオケも好きじゃないし……」

いつの間にか、隣に男の子が座っていたなんて気付かなかった。

隣に座った男の子もカラオケを楽しめていないようで、ソファーにうなだれていた。

「……帰りたくない?」

「……か、帰りたい、物凄くっ!!」

隣の男の子も帰りたい気分らしく…私に問いかけた後、つまらなそうにアクビをしていた。

横目でチラッと見てみると、他の男の子のようなヤンチャな感じは無くて、

寧ろ……物静かで綺麗な顔立ちの王子様系!?

「コッソリ帰っちゃわない?」

「……でも」

「……こんな連中に付き合ってたら、キリが無いって!!」

男の子が私に『帰ろう』と誘うけれど…茜ちゃんが気がかりで躊躇った。

しかし、男の子は強引に抜け出そうと提案。

茜ちゃんは浮かない顔してる気もするけれど、話はしてるみたいだし……とりあえずは『帰るね』とメールした。

茜ちゃんと目が合うと、メールを見て、そそくさと返事をくれた。

『トイレに行くと行って出るから、入り口で待ってて〜(>Д<。)』とメールが来た。

ここからは、脱出開始!!

私と男の子の事なんて、誰も気にしてないから……抜け出しは簡単だった。

問題は茜ちゃん……。