「あのぉ……対馬さん?私、気に触る事をしましたか?」

恐る恐る口に出して聞いてみる。

反応が怖かったけれど、ギュッと手を握り拳にして、力を入れて堪える構えをする。

「……いや、そんなつもりは無くて…寧ろ、何もしてない……、よ?」

私の問いかけが変だったのか、唖然とした顔で答えた対馬さんはネームを持ったまま、私を見る。

真っ直ぐに降り注ぐ視線は目のやり場に困って、反らしてしまった。

対馬……さん?

「……17ページの展開以外は合格!!急に恋愛が絡んで来たら、読者は困惑するぞ。やっぱり、この要素はあまりいらないと思う……はい」

さっきの視線は何だったのか分からないが…急にネームのやり取りを始めた。

「わ、わ、分かりました。削りますね……」

ネームを手渡され、指摘部分をどうしようか考える。

対馬さんの態度が気になって、ネームどころじゃない。

そっぽを向いている対馬さんは、どこか悲しげなような切ない表情のような気がするけれど……?

「……俺はさ、カナちゃんが幸せになれば良いと思ってるよ。だから、傷つかないで欲しいだけ…」

「………?」

「コンビニ行って、甘いモノ買って来る!!」

「……はい」

意味深な発言を残して、部屋をそそくさと後にした対馬さん。

対馬さんは一体、何を考えているのか?

生身の人間の考えは、想像や妄想だけでは…答えが導けずに困惑する。

だけども……対馬さんの残した言葉が、これから先の出来事を予告していたなんて…

予想も出来なかった。

今は、ヒロ君が来てくれるだけで幸せだけれども……

幸せの階段を滑り落ちるのは、もう少し後の事―――……