「……何かぁ、主人公との恋愛要素っぽいの多くありません?ルアの相手はモチロン、要しか居ないのにーっ!!」

ネームを見て、編集見習いの福島さんがブツブツ言っている。

そんなに恋愛要素っぽいかなぁ?

自分では気にならないのになぁ……。

「福島、カナちゃんは恋しちゃったの!!……んー、でもコレはボツね。やり直しーっ!!」

「……えぇ!?本当に……あぁ、もう寝たいのにぃっ」

ヒロ君がバイトに来てくれて、三日目の夜。

ネームを確認しに来た対馬さんと福島さんの二人が、あーでもない、こーでもない、と議論している。

私の頭はヒロ君でいっぱいだった。

だからかな?

ネームにも現れてしまったのかもしれない―――……

―――――――
――――――
―――……

「カナミちゃん、こんばんは。10分早いけど、上がっていー?」

「……はっ、はい、どうぞ!!」

バイト初日。

ヒロ君は予定よりも早く現れて、台所に立っていた。

食材は準備する約束だったのに、色々と買い込んで来たみたいだった。

「食材はあるから大丈夫だったのに……」

「作りたいモノがあったから……」

「あ、あの、食材のお金……、払いますから!!」

「いいの、いらないから……座ってて!!」

冷蔵庫を開けたり、お皿を出したり、ヒロ君の周りをうろちょろしてたら、

邪魔だったみたいで椅子に強制連行された。