「最初に約束があるんだけど……」

「はい、何でしょう?……ひゃ、ひゃあっ」

ビ、ビックリしたぁ。

ヒロ君が真面目な顔をして、人差し指を伸ばし、私の鼻に触ったから変な声を上げてしまった。

それでもヒロ君は顔色を変えずに……

「お互いのプライベートは立ち入らない事…約束しない?」

と言ってきた。

「……は、はい」

私が返事をすると、鼻から人差し指が離れた。

「……後はカナミちゃんが決めてね。俺からは以上!!」

プライベートに立ち入らない事は、私にも好都合。

漫画家だとバレずに済む。

家政婦の仕事だけの関係。

お金で繋がる関係。

それでも……、会いたいから良いよ。

知りたい事も、聞きたい事も沢山あるけれど……

今は、その関係だけで良い。


ヒロ君とその他の契約も決めた。

条件は……

・時給2,000円・残業無し
・プライベートには立ち入らない事
・毎日2時間 (18時から20時予定)

明日から毎日来てくれるらしい。

都合の悪い時は、お互いに連絡する為に携帯電話の番号も交換した。

明日から始まる秘密の契約―――……

「……さてと、長居してごめんね。明日から来るね。よろしくお願いします!!」

ヒロ君は契約が終わったので、部屋を後にした。

名残惜しいけれど、寂しくはないよ。

明日から毎日のように会えるからね。

コチラこそ、よろしくお願いします、ヒロ君―――……