ごめんね、って精一杯思うけれど……もう後戻りは出来ない。

対馬さんが投げかけた設定のまま、突き進むしかない。

デザイン会社はともかくとして……“我が儘社長令嬢”はどうするべきか。

我が儘って、私よりも、もっと傲慢で高飛車な気がするけれど……!?

「えっと、クッキーはお取り寄せ、なんだ。本当はね、普段は茶葉からは入れなくて、あの…その……」

「そうなんだ。クッキー食べてみよっと。……カナミちゃんてさ、……我が儘って感じがしないけどさ、対馬さんの前だと我が儘なの?」

「……あ、いえ……、えと……」

クッキーを頬張りながら投げ掛けられた一言は、返答に困るモノで、

そして何より、何故、対馬さんの前だけ我が儘、と断言されているのか分からなかった。

「対馬さんは……対馬さんとは兄妹みたいな……感じ、かな?と思います」

「……ふうん、そう」

「……じゃあ、やっぱり我が儘言ってるんだ?」

「……ち、違っ、……違います!!本当にお兄ちゃんみたいな人で、えと……」

ヤバイ……。

ヒロ君が必要以上に聞いてくるから、涙がじんわりと目尻に集まってきた。

クッキーのおかわりを右手に持ちながら、私を見ているし、……目線が合ってしまい、余計に気まずい。

対馬さんは本当にお兄ちゃんみたいな存在だから、多少の我が儘も言うけれど…それは仕事の件だったりで……

プライベートに関しては甘えたり、我が儘は言っていないと思っていた。