紅茶を差し出すだけでも、心臓が破裂しそうなのに……今の微笑みは、かなり心に響いて、頬に熱を帯びる。

「おーそーい!!カナちゃん、遅い!!時間無くなっちゃうでしょっ」

ヒロ君の目の前に座っている対馬さんは、頬を膨れさせていて、まるで子供のようだった。

思わず、私の顔に笑みが零れる。

「対馬さん……、膨れてますか?」

「膨れてないっ!!俺だってね、他に仕事があるんだから、早く話を済ませてね」

テーブルに置かれたクッキーを右手で乱暴に口に入れ、左手の人差し指でテーブルをトントンと叩き、催促をしてくる対馬さん。

やっぱり……、膨れて機嫌が悪そう。

膨れている対馬さんが何だか可愛らしく見えてしまい、微笑みと言葉を表面に出してしまったのが間違えだったらしく……後々、後悔した。

「……えと、対馬さんは背景とか何とかって言ったかもしれないんですが、あの、その……」

私は緊張し過ぎて、頭の中では整理がついて話せているのに、実際にはしどろもどろになってしまい、伝えたい事も伝えられずにいた。

伝えたい事は明確なのに、ハッキリと言えない自分は嫌いだ……。

「……えと、あの、かっ……」

「……つまりね、単刀直入に言うと、」

見兼ねた対馬さんが私を不憫に思ったのか、変わりに話し出した。