待ちわびていた目の前のこの人は、対馬さんと一緒に来た。

対馬さんに誘導されると、軽くお辞儀をして『お邪魔します』と言って、私のマンションの玄関に足を踏み入れた。

玄関先に出して置いたスリッパを履いて貰ってから、リビングへと案内した。

「紅茶とお菓子に……ん?コーヒーのが良いのかなぁ?」

案内してから、二人は椅子に座って待ってて貰うようにお願いした私は、おもてなしのお茶の準備をする。

会いたかったあの人……ヒロ君が私の部屋に居るなんて……!!

自分で仕掛けたとはいえ、夢みたいだよ。

男の人を部屋に上げたのも、お父さんに弟に対馬さん以来だよ。 お湯を沸かし、紅茶用のポットを暖める。

暖めている間に、お茶菓子用のクッキーをお皿に並べる。

クッキーはネットショップでいつも注目している、とっても美味なクッキー。

つまり、リピーターね。

ヒロ君……、気に入るかなぁ?

―――私は、初めて彼氏を家に招いた彼女のように、ウキウキしながら用意を進めた。

「紅茶にしたんですけど、コーヒーの方が良かったですか?」

カチャリ、と僅かな音しか残らない位に静かにヒロ君に差し出す。

「……いえ、有難うございます」

ヒロ君は少しだけ微笑んで、返事をした。