ドキドキ……ドキドキ……。

約束の時間まで、あと5分を切り、心臓の鼓動が有り得ない位に早い。

時計を見ては、胸に手を充てて、ふぅっと息を吐いて、落ち着くようにと自分に言い聞かせていた。

約束の時間までのカウントダウンが始まり、私はウロウロとキッチンを巡る。

まずはお茶をして……、仕事内容を伝えて、時給とかも伝えて……。

こんなにドキドキしっぱなしの私に、ちゃんと出来るのかな?

不安だらけだけれども、刻一刻と時は迫ってきていた。

時計の針の音が、私の鼓動とシンクロしているように聞こえる。

何度も深呼吸を繰り返していると…玄関のチャイムが鳴った。

チャイムに反応して、ビクンと震える体。

私はもう一度、大きく深呼吸をしてからインターホンを手に取った。

インターホンの画面から移し出された姿は、紛れもなく待ちわびた人だった―――……

「ど……どう、ぞ」

私はドキマギしてしまい、笑顔も無く、焦点も合わせられずに……オマケに短文しか発せなかったクセに、言葉が途切れてしまった。

駄目ダメだなぁ、私は。

格好悪いなぁ……。

「さ、入って……」