例えば……、俺様彼氏に天然ちゃんとか、イケメン御曹司にモデルとか……

考えれば考える程、ネタと成りうる関係は存在する。

そして、それが、どんな風に動いて、どんな風な関係になって行くか……で面白みが生まれる。

私の元にも……面白みという現実がやってきた―――……

「えーっ、ヤダッ!!ヤダヤダヤダッ!!」

「ヤダ……って言ってもねぇ、……日に日に人気は増えてて仕事量も多くなってるし、アシスタント採ろうよ?ね?」

「うぅ……」

ヒロ君との別れを惜しむ間もなく……、仕事はやってくる。

1日丸々の休みは昨日が久しぶりで、夜が空ければ仕事を持って担当さんが来る。

何を隠そう……、私は漫画家だ。

マンションを買える位、売れている少年雑誌の漫画家である。

初めての連載が大人気となり、コミックスは現在、15巻まで発売になった。

ヒロ君に教えた“奏心―カナミ―”とはセカンドネーム、すなわちペンネームだ。

「カナちゃんもさ、いくら俺と担当見習いの福島が手伝ったって、大変になってきてるでしょ?だからさぁ……」

この人は私の担当さんの対馬 望(つしま のぞむ)さんといって、新人の頃からお世話になっている。

担当見習いの福島(ふくしま)さんとはゲームや漫画が大好きな女性で、元々は漫画家志望だったらしい。

私の唯一、信頼出来る方々。