福島さんは照れくさそうに笑って、

「ほら、対馬さん、帰りますよ!先生、対馬さんはお任せ下さい!」

と言って無理やりに連れて行く。

二日酔いの対馬さんは体調が悪いからか、素直に着いて行った。

対馬さんと福島さんとは駅で別れて、私達は三人になった。ここからは電車を乗り継ぎ、ヒロ君が行きたかった場所に向かうらしい。

電車の中は少し混み合っていて、私達は座席に座って居たが、私は少しずつ冷や汗が出始める。それに気付いたヒロ君は、そっと手を繋いでくれた。

「怖がらなくても大丈夫だよ」

耳元でヒロ君に囁かれ、耳から熱が伝わり、顔中が赤く火照る。それを見ていた裕貴君と目が合ってしまい、気まずい。どうしたら良いのか分からずに俯く。

電車を降りる時もずっと手を繋いでくれていて、ふらつきそうな私を守ってくれているヒロ君だった。ヒロ君が手を離す時は裕貴君が必ず私を見守ってくれていて、安心出来た。

高校を辞めてから遠出したのは初めてだった。家族以外の誰かと出かけるのも、勿論初めてだった。皆の優しさが心底、嬉しい。

「……カナミちゃん、絶対、海大の事、好きでしょ?」

「……あ、えっと……、そんなに分かりやすいですか……」

ヒロ君が乗り継ぎのバスを探している時に裕貴君に尋ねられた。

「分かりやすいなんてもんじゃないよね。好きのオーラ出しすぎ」

「そうですか……」

恥ずかしい、恥ずかしい……!

自分では気づけないほどに好きのオーラを出していたなんて……!

私は両頬を両手で押さえて、赤みを帯びている顔を隠す。手の平が熱くなる程だから、余程、真っ赤なのだと思う……。

「……海大も満更じゃないと思う。脈アリ、なんじゃないかな?」