───翌日、私達は朝食を取り、9時前にはチェックアウトをしてホテルの外に出た。

「……対馬さん、かなり気分が悪そうですね。大丈夫かなぁ……?」

外に出た後にヒロ君が対馬さんを見て、私にコッソリと伝えて来た。対馬さんは胃がムカムカするらしく、朝食もコーヒーと水のみだった。胃薬をホテルで貰い、少しは落ち着いてきたようだが、まだ体調が悪そうで、私達とは離れて歩いている。

「私、対馬さんの所に行って来ます!」

心配そうな福島さんだったが、話をかけずに対馬さんの後ろから静かに着いて来ている。福島さんもいつもの福島さんじゃなく、元気が無さそうだ。ホテルに居る時は元気だったんだけどな……?

「対馬さん、大丈夫ですか……?」

「……大丈夫じゃない。頭が重くて、気持ちが悪い……」

私はまだ未成年だからお酒は飲んだ事がないけれど、二日酔いって引き始めの風邪よりも酷そうだね。対馬さんはいつもみたいに笑わなくて、下を向いてばかり。

「……この後、ヒロ君の行きたい場所に行くんだろ?俺、先に帰ってても良いか?福島、置いていくから……」

「え……、体調悪いならそうして欲しいけど……。でも、ヒロ君は大学1年生だし、私ももうすぐ20歳ですから付き添いは大丈夫です。対馬さんの方が心配だから……、福島さんと一緒に先に帰っていて下さい!私も帰ったら、すぐに連絡しますから……。……ね、良いですよね、福島さん?」

急に振られた福島さんは何の事だか分からずに、きょとんとして立ち尽くした。

「福島さん、対馬さんが体調悪いので付き添いお願い出来ますか?先に帰っていてください」

私は余計なお節介かもしれないけれど、福島さんの気持ちを知っているからこそ、応援してあげたくて勝手に対馬さんを頼む事にした。