福島さんは私を見ては、両頬を両指でつねってきた。

「……ふ、あが、」

私の両頬をつねり、それがどんな意図でそうしたのかは分からなかったが、満足したのか指を離して語り出した福島さん。

「……先生は可愛くて女の子らしくてズルいです。私なんて……、対馬さんに女として見られてないですもん。対馬さんに編集の仕事を教わって一緒に行動したりしてますけど……、対馬さんの目線は常に先生なんです。それを分かってはいるのですが、好きな気持ちって止められないですよ……」

「……わ、分かりますよ、ソレ。わ、私も……ヒロ君の事が好きですが……、ヒロ君には別の好きな人が居るみたいなんです。優しくされると余計に好き、になっちゃう……けど、私に恋心は抱いてないな、って思う」

対馬さんが私を好きかどうかはさておき、恋する福島さんは綺麗。普段、オタク街道まっしぐらな福島さんだけれども、元々が色白の目鼻立ちパッチリの美人さんだから、素顔も本当に綺麗なんだよね。本人は美人さんだと自覚してないみたいだけれど……。

「お互いに報われない恋をしてるんですね。あの二人には私的にはBLでも良いかなぁ……なんて思ってますけども!」

「え……?」

「ヒロ君と裕貴君ですよぉ!イチャイチャしてるのを見てるといても立ってもいられなくなる!脳内はBL変換まっしぐらですよね!」

「……た、確かにどちらも美少年ですからね」

「そうでしょ、そうでしょ!」

福島さんはBL(ボーイズラブ)も大好き。先程までの恋する福島さんはどこに行ってしまったのか……。

でも、漫画以外の事で福島さんとお近付きになれたのは正直に嬉しい。今までは自分以外の誰かと温泉に入る事も無かったし、友達も居なかったから話す相手も居なかった。