───二人に正体がバレていて漫画家だとカミングアウトをした後、ホテルの中に入った。

夕食はバイキング会場で、対馬さんがお酒を飲みすぎてヘロヘロになっている。無事に部屋まで送り届け、私は福島さんと一緒に大浴場の温泉に浸かっていた。

「対馬さん、大丈夫ですかね……?」

「大丈夫ッスよ!ただの酔っ払いです」

私と福島さんが一緒の部屋で、ヒロ君と裕貴君が一緒の部屋、対馬さんが一人部屋だ。対馬さんを皆で送り届けたが、布団に横にならせるとすぐに寝てしまっていた。

心配だから、ヒロ君と裕貴君の二人に対馬さんの部屋の鍵を預け、様子を見てくれるように頼んだ。

「多分、ヤケ酒でしょうね」

「ヤケ酒……?」

「もう、対馬さんの気持ちをバラしてしまったから言いますけど……、先生がヒロ君と仲良くしている姿を見たくなかったのかもしれません。単なるヤキモチからのヤケ酒、かと」

海が一望出来る露天風呂。海を眺めながら話す福島さんは何だかいつもとは雰囲気が違う。薄明かりの下、どことなく切なげな表情を見せる福島さん。

もしかして、福島さん……!

「福島さんって……、もしかして……、対馬さんを好きですか……?」

「…………。先生、私の話をちゃんと聞いてます?」

福島さんが答えをはぐらかした。

「ちゃんと聞いてますよ。私、誰かに好かれる事なんて中々無いから、対馬さんがもしも好きになってくれたのなら純粋に嬉しいです……。でも、残念ながら……恋愛感情は抱いた事が無いんです。対馬さんは私を窮地から救ってくれた人ですけど……、大好きですけど、恋愛感情では無いのです……。

最初からお兄ちゃんみたいに接してくれたから、どちらかと言えばお兄ちゃんですね」