二人を見ていたら、高校時代の茜ちゃんと私の関係を思い出した。

私達が二人で一緒に過ごした日々は常に輝いていて、楽しかった。思い出は美化されるなどと良く言うけれど……

私達二人にはそんな事など有り得なかった。

二人だけの思い出は本当に青春そのものの、友情物語。

誰が居なくても、茜ちゃんさえ居てくれれば、それで良かった。今だに茜ちゃんが居たら、高校生活は潤っていただろう、などと考える時がある。

今、茜ちゃんはどこに住んでいて、どんな生活をしているのかな?今の私を見ても、茜ちゃんは私を大好きと言ってくれますか……?

「カナちゃん、今日の夜はこの周辺に泊まって、明日は電車で少し移動するけど着いてきてくれる?」

「はい、行きます。でも、どこまで行くのですか?」

「それはね、明日までのお楽しみだよ」

裕貴君とじゃれていたヒロ君が私に話をかけてくる。裕貴君は福島さんに拉致されて、ご当地グルメを探しに行くとかで連れて行かれてしまった。見渡せば対馬さんも居なくて、私達は二人きりだった。

「ホテルの食事に間に合うように集合かけといたから大丈夫だよね?俺達もどこか行こうか?」

「……は、……はい、喜んで」

ヒロ君と二人きりになった私は心臓が有り得ない位に跳ね上がる。そして、まさかのデート!

私達は笹かま屋さんに寄って、焼きたての笹かまを食べたり、お土産屋さん巡りをした。読者プレゼントに使うお土産も買い、ヒロ君に「随分と沢山のお土産だね」と言って笑われた。無事にお土産の宅急便の手配をし、ホテルに戻った。