「カナちゃんは三回分のストックはあるから休まなくても平気かな?どうだろう?アシスタントさんも来てくれる事になったから進み具合では穴開けなくても大丈夫かもしれないよね。まぁ、とりあえずは編集会議にかけてみるね」

「あ、あの……実はっ……!」

「んー?何、顔を真っ赤にして。もしかしてだけど……」

対馬さんに正直に伝えようとして、ヒロ君の事を思い出したら顔に火照りを感じた。付き合っているとか友達でもないけれど、一緒に旅行に行くんだ。この際、一緒に行けるのならば肩書きなんて何でも構わない。

「……ヒロ君と一緒に行くの?二人で?」

対馬さんにはお見通しだった。私はコクンとうなづいて、それ以上は口を開かなかった。

「カナちゃん、ヒロ君と付き合ってるの?」

問いかけに首を振る。

「カナちゃん……、付き合っても居ないのに男と二人きりで旅行に行くなんて有り得ない。やめなさい!」

珍しく、対馬さんは私の事を冷ややかな目で見てきた。

「先生……、ヒロ君って飯スタントの?ダメですよ、絶対、ダメです!二人きりなんて許しません!うぅ……、先生が私の知らない所に行ってしまう……」

福島さんにも反対された。

そりゃそうか……、付き合っても居ない男の子と二人きりは駄目だよね。部屋は別々でも駄目なのかな?

「部屋は別々にすると言ってましたし、私が行けなくても行くとも言ってました。行き先は聞いていません……」

「じゃあ、詳しく聞いてみて!話はそれからだよ」

対馬さんはヒロ君の話題になると機嫌が悪くなる。福島さんは私がヒロ君と二人で出かけると言ったからショックを受けているらしい。

明日、ヒロ君に詳しく聞いてみよう……。