───私が倒れてから、ヒロ君に初めて会う。

こないだ、通信制高校からの手紙を見られて以来、会ってない。どんな顔をして会ったら良いのか、万が一聞かれたらどんなリアクションを取れば良いのか、………分からない。

嫌われる覚悟で事実を伝えた方が良いのかな?

昼間は気にし過ぎて、仕事に集中出来なかった。

ヒロ君に対して社長令嬢だと嘘をついている事、本業は少年誌の漫画家だと言う事を包み隠さずに伝えたとして嫌われる確率は……きっと高いだろう。

それから漫画家だと知れたら、私の頭の中身を覗かれてるみたいで、とてつもなく恥ずかしい。

私の思考の全てをさらけ出し、本能の赴くままに描いている漫画。プロとして、自分のマンガに誇りを持ちたいのだが、私がこんな性格故に自信を持って、『この作品を描いているのは私です』とも言い出せない。

少年誌の漫画が恥ずかしいと言って否定している訳では決してなくて、私は女性なのに異世界の少年漫画を描いているのが恥ずかしくて言い出せないのだ。変なプライドが邪魔をしている。

私が漫画家だと言う事は編集部の方々と両親しか知らない。高校が別々になった小中学の同級生とは疎遠になった為に誰も知らない。