僕と彼女が出会ったのは、街はずれにひっそりと立つ孤児院だった。僕も彼女も、事故で家族を亡くした孤独な子どもだった。

 僕が初めて孤児院に足を踏み入れた日、すでにそこで暮らしていた彼女は、悲しみに震えていた僕を黙って抱きしめた。家族が死んだと知ったときも、葬式でも泣かなかった僕は、そのときやっと涙を零した。彼女の小さな手はあたたかかった。これが温もりだと、僕はそのとき思い出した。

 それから今まで、僕と彼女はずっと一緒だ。依存だとか傷の舐め合いだとか、いろんな言われようがあるけれど、そんなことはどうでもよかった。どうでもいいんだ。

 僕は、彼女を愛している。