「陸くんも、協力してくれて有難う」
 と陸くんの方に向き直ると、苦虫を噛み潰した顔とぶつかった。
「あの……、陸くん」
 苦虫顔がますます苦くなる。
「なんか……、怒ってる?」
「怒ってはいないけど、これからの事を考えると憂鬱」
「これからの事?」
「さっきので、僕らは一遍に注目される存在になった。これから、膨大な救助要請が
来ることになるよ。僕らの手に余るくらいのね」

 その懸念は最初から分かっている。
 だから、中洲での救助の時に残したビラに注意書きをかいておいた。
『私達は超能力救助隊 ソラシドレスキューです。
 危険が迫ったら、SNSに#ソラシドレスキューで投稿頂ければ救助に伺います。
 場所と状況を詳しく書いてください。
 それと、私達は学生です。救助活動が出来る時間は限られています。本当に緊急の
場合だけ、出動要請してください』

 ビラの内容をもう一度陸くんに説明する。
「それは分かってるよ。でも、世の中の人が全員、このビラの内容通り行動するとは
限らない。嘘や悪戯で救助要請されても僕達には分からない。これからの方が間違い
なく大変になるっていう事さ」
 陸くんの言葉が胸に刺さる。
 ソラシドレスキューの最初の出動は嬉しさ半分、不安半分の結果になった。