次に二人が前後に並ぶ方法を試した。
 陸くんが前、私が後ろに立ち、私が陸くんの腰の辺りに手を添える。
 先ほどと同じ要領で、空中を飛んでみる。
 こちらの方が、断然飛びやすい。陸くんが視界の中にいるからコース取りし易い。
 何よりも、目の前に陸くんが居るおかげで、安心感が持てる。眼下に、遥か彼方の
地面が広がっていたら、高所恐怖症でなくても心臓が縮みあがった事だろう。
 このあと、私が前になる飛び方を試そうとしたんだけれど、陸くんが私の腰に手を
当てるのが恥ずかしくて出来ないと言うので、取りやめになった。
 陸くん、意外と純情だ。

救助訓練)
 続いては、実際に人を救助する訓練。
 陸くんやアッキーを助けた時は、念動力で遠くから車や人を動かした。
 だけど、良く考えれば、この方法はあまり宜しくない。
 動かしたい物の周囲の状況が見えていないからだ。
 助けるつもりが、より危険な状態にしてしまうかもしれない。
 一番良いのは、救助の対象者に近づき、直接その人を助けること。
 その点、陸くんと私が前後に並んで飛ぶ方法は都合がいい。
 私が超能力で陸くんを支えながら、陸くんに救助したい人を抱き上げて貰う。
 これで、確実にその人を運ぶ事が出来る。
 私達は、シーちゃんとアッキーを対象者に見立てて、予行演習を繰り返した。