「よう」
 と男子の声。
「よう」
 とシーちゃんが応える。
 噂をすれば何とやら、空井晃くんだ。

「アッキー、おそーい。何やってたの?」とシーちゃんが頬っぺたを膨らませる。
「また、バレー部に助っ人頼まれた」
「またぁ? もう、いい加減断りなよ」
「ああ。今度の日曜は、バスケ部とバッティングしてるから駄目だって、断った」
「ええーっ。それ初耳。いつバスケ部の助っ人引き受けたのよ」
「今日のお昼休み」
「もぉー!! 私とのデ……、じゃない。アッキーの体が休まらないでしょ」
「俺、体動かしてる方が良いんだ」
「そういう話じゃなくて……。まさか、夏休みも、そんな調子じゃないよね」
「んーん。そうかも」

「えぇーっ! 皆して海行くって言ったじゃん! 花火見に行くって言ったじゃん!
来年は受験で忙しくなるから、この夏休みは一杯思い出作ろうって」
「……。じゃぁ、そうする」
「じゃぁ、って何よ。大体、アッキーはね……」