久しぶりに家族三人そろっての夕食。
 ビールとジュースで乾杯して、一家団欒の時間が始まる。
「あら。お父さん、普段はカレーにソースかけて食べるんじゃない?」とお母さん。
「今日は、美幸が丹精込めて作ってくれたから、じっくりと味わいたいんだ」
 うぅぅー。お父さんに、そんなこと言われたら、胸キュンしちゃうよ。
 お父さんが最初の一口を食べ、すかさず。
「おおぉ!! これは絶品だ! 隠し味のチョコとヨーグルトが絶妙なハーモニーを
醸し出してる」
「本とに!? ありがとう。喜んでもらえて、凄く嬉しい。あと、トマトジュースも
入ってるんだ」
「そうか、凄い円やかだよ」
 と、こんな感じで楽しい食事の時間が始まる。

「そう言えば。友達で、カレーに塩辛を添える人がいるんだ」とアッキーの話を持ち
出す。
 へー。それじゃぁ……。
 お父さんは探求心旺盛で、こういう時は決まって「早速試そう」となる。
 で、その結果は。
「うーん。悪くはないけど、別々に食べた方が美味しいな」という事になった。
 御免ね、アッキー。塩辛カレーは、うちのメニューにはなれなかった。


 そのあと、それぞれの近況を語り合った。
 もちろん、超能力の話は伏せておいたけど。
 食事の後片付けも終わり、くつろぎの時間。
 私は、居間のソファで書類に目を通している父の横に腰かける。
「あのぉ、お父さん。ちょっと、聴いて貰いたい事があるんだけど」
 ん。何だい。書類から目を離して、お父さんが答える。
 私が聞きたいのは、勿論、自身の超能力についてだ。自分は、これから何をすれば
よいのか。そのヒントが聞きたい。
 とはいえ、超能力の事は話せないから、その事を隠しつつ、私は次のような質問を
切り出した。
「もし、人が身の丈に余る力を手に入れたら、どう行動すべきだと思う?」