超能力に関して、ここまで分かった処で、さて、これからどうしよう、という話に
なった。そこで私たちは、AI部の部室で今後の方針を話し合うことにした。
「誰にも言わずに、黙っておく」
 真っ先に、そう発言したのは陸くんだった。
『超能力なんて誰も信じてくれない。好気の目に晒され、周りから孤立する』
 陸くんは、森林公園へ向かうバスの中で私に話した内容を、皆の前で披露した。
「でも、国の公式機関とかに研究して貰えば良いんじゃないか」とアッキー。
「簡単に言うね。研究対象は僕と天野さんだ。血を抜かれたり、体を切り刻まれたり
するかもしれない。隔離されるかもしれない」
「隔離?」その嫌な言葉に、私は顔をしかめる。
「なにしろ、貴重な実験材料だからね」と陸くんが皮肉っぽく唇を歪める。

 たしかに、陸くんの言っている事は本当かも知れぬ。私だって自分がモルモットに
されるのは嫌だ。
 けれど、それとは別な思いがある。
「だけど、このまま黙っていたら、宝の持ち腐れになると思う。私は、この力を世の
中のために役立てたいの。困っている誰かを助けたいの」
 私は、胸の内を他の三人に打ち明ける。