念動力も、始めは、咄嗟のときに無意識に力が発動するだけだった。
 けれど、訓練を繰り返すうちに、自分の意志で物を動かせるようになってきた。
 少しコツがあって、頭の中に、動かしたい物と、その動きを鮮明にイメージすると
上手に動かす事が出来る。
 消しゴムから始まり、スマホ、椅子、机。今では、人を浮かせることが出来る。

発動条件)
 シーちゃんの考え通りで、私が超能力を発動させるには、陸くんが側にいる必要が
ある。
 何故そうなったのか、正確な所は分からない。多分、最初に陸くんを助けるために
超能力を発動させた事に関係しているのだろう。きっと、そのイメージが強く残って
いて、能力の発動条件になっているんじゃないだろうか。
 それから、私と陸くんの距離が近いほど、超能力は強く正確に発動する。
 一番強く、一番正確に発動するのは、私と陸くんが直接に触れ合っているとき。
 森林公園で、アッキーを助けた時が、そうだった。

 陸くんとの直接接触がない場合でも、超能力を使えることは、使える。
 でも、その場合は、思った通りには超能力を使えない。
 動かしたい物と違う物が動いたり、全く見当外れの方角に動いたり、力加減も上手
には出来ない。

 先ほど、「二人の距離が近いほど」と書いたが、単純に距離の近さだけが関係して
いるのではないようだ。例えば、隣り合った部屋で二人が壁を隔てて立っていると、
そのままでは、超能力は発動しない。ところが、同じ条件で二人がスマホで連絡を、
取り合っていると、超能力は発動する。
 この辺りの理屈は、私達自身にも分からない。
 とにかく、二人が比較的近い距離で、お互いにコミュニケーションをとっていると
超能力は発動するようだ。