ポカンとした顔で立ち尽くすアッキーに、シーちゃんが駆け寄って抱き着く。
「良かった、良かった、アッキー、無事で」
 私は、その二人の姿を何も考えられない瞳で見つめる。
 何が起こった。
 どうして、アッキーは助かったんだっけ。
 目の前で起こった事なのに、それを理解することを、私の脳が拒否していた。

「エスパーは、やっぱり君だったんだね」陸くんに、そう声をかけられた。
 気がつくと、私は陸くんに手を握られたままだった。
 陸くんの方を振り返ると目が合った。けれど、陸くんは直ぐに視線を外した。

 その時、私はシーちゃんに抱きつかれた。
「美幸、ありがとう。アッキーを助けてくれて」
 涙声のシーちゃんが、私を強く抱きしめる。
 私は漸く正気にかえる。
 そうか、今のは私がやったんだ。
 私がアッキーを空中で受け止めたんだ。
 私は、私は、エスパーだったんだ。