オワッ!!
 アッキーの立っていた手すり部分が崩れ落ちる。だが、素早い移動で難を逃れる。
 だが、新しく足を掛けた場所も朽ちていた。
 アッキーが足を踏み外し、両手で物見台の柱にぶら下がる。
 真下には、梯子の切断面が牙を向く。

「アッキー」慌てて、遊具の方向に向かって走りだす。
「止せ!」陸くんが私の腕を掴む。
 そうしている間に、アッキーの片手が柱の手掛かりから外れる。残るのは腕一本。
 うぅぅぅぅ、あーっ!
 絶叫とともに、アッキーの体が落下する。
 思わず、アッキーに向かって手を伸ばす。

 その時、奇跡が起こった。
 アッキーの体が空中で静止したのだ。
 驚愕のアッキーが、見開いた目で自分の足元を凝視している。
 アッキーは、私が伸ばした右手の延長上で宙に浮いている。
 私は、慎重に右腕を動かしてみる。
 その動きに連れ、アッキーの体が空中を移動する。
 私は、出来る限りの慎重さで腕を動かし、アッキーの体を誘導して、慎重に地面に
降ろした。