「あのぉ。天野先輩」
 シーちゃんと一緒に校門を出て直ぐ、後ろから女の子に声をかけられた。
 振り向くと、うちの高校の一年生が三人立っていた。
 真ん中のセミロングの子が赤い顔でモジモジしており、両サイドの二人が真ん中の
子の脇腹をせっつきながら
「ほら。早く渡しなさいよ」
 と小声で囁く。
 セミロングの子は、紅い顔から更に強い赤外線を発しながら、
「天野先輩。あの、これ受けとって下さい」
 と私に手紙を差し出した。
 私が手紙を受け取ると、三人娘はキャーと奇声を発して、一目散に走り去った。

「また、女の子からラブレター?」とシーちゃん。
「そんなわけじゃ……」と私。
「あれでしょ。私を天野先輩の妹にしてください、ってパターンでしょ」
「……うん。……そうかな」
「で、どうするの?」
「……。別に、断る理由もないから……」
「ええーっ! 美幸、一年女子全員を妹にする気? てか、うちの高校の女子全員を
支配下におくつもり?」
「まさか。皆、友達になるだけだよ」
「ああ、こりゃあなたを巡って戦が起きるわ」とシーちゃんがおどけてみせる。
 私がここで何か言うと、またツッコまれそうなので黙っておくことにしよう。