その広場から、機関車遊具へと向かう遊歩道が延びている。
 海賊船遊具へ続く道は、立入禁止の立て札とともに、幾重にもバリケードが組まれ
ていた。

「ホントにこの先に行くの?」露骨に眉をしかめながら陸くんが尋ねてくる。
「う、うん。シーちゃんたちは、この先にいるはず……」
 そうなの……。
 というと、陸くんはバリケードの様子を調べはじめる。
 が、直ぐに
「これを越えてくのは容易じゃないね」
 と諦めたような発言をする。
 このまま帰るとか言い出されたら困るので
「でも、アッキー達は行けたんだから、抜け道がある筈よ」
 と前進を促す。
 抜け道ね。と言いながら陸くんが辺りの様子を伺い、
「分かった。こっちだ」
 と言って、今来た道を戻り始めた。
「ちょっ、駄目だよ、帰っちゃ。シーちゃんたちが待ってるもの」
「良いんだよ、こっちで」
 陸くんは遊歩道を七~八メートル戻った所で、道から外れて森の中に分け入った。
 陸くんは、そのままズンズンと木立の中を踏み分けて行く。
「天野さんは、僕の通った跡を、ついて来て」
 と言われたので、陸くんの後に続く。
 私達は、森の中を大きく迂回して海賊船へ通じる遊歩道へ抜けた。
 陸くんが先にたって、草を踏み分けてくれたので、私の服は汚れずに済んだ。
 その一方、陸くんの服には蜘蛛の巣が無数に張り付き、下草の露でグチャグチャに
濡れている。
「ありがとう。汚れちゃたね」
 と、お礼を言うと、プイと私に背を向け、何も言わずに歩き出した。
 つっけんどんな態度だけど、本当は優しいんだね。
 陸くんを見る私の目が、少しだけ温かくなった。