『私と陸くんが一緒の時に、超能力が発動する』
 シーちゃんの提示した仮説は、確かに状況を上手く説明していた。
 そこで、嫌がる陸くんを説得し、二人が一緒にいる状態で水鉄砲実験を行った。
 だけど、結果は大失敗。私と陸くんが濡れネズミになっただけだった。
 元々、「水鉄砲の不意打ちで、火事場の馬鹿(超能)力を引きだす」のが趣向なの
だが、幾度も繰り返せば、不意打ちが不意打ちでなくなる。
 そこで、日を改め、場所も改めて超能力実験を行う事になったのである。

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「いつまで、こんな茶番に付き合わされるの?」
 さっきから、陸くんはず~っとオカンムリだ。
 口をついて出るのは不平不満ばかり。
 陸くんの協力を得ようと、最初は私も宥めすかしていたけれど、段々疲れてきた。
 今度の超能力実験は次の日曜日に。とアッキーに言われ、陸くんと私は指定された
場所に向かってバスに乗っている。
 その場所は、町外の森林公園だ。森の中に、フィールドアスレチックの遊具が点在
している公園。開園当初は、物珍しさから入場者も多かったが、最近ではめっきりと
来場者も減っている。それに、植物の繁茂スピードに手入れが追いつかないためか、
遊具の多くが草木に絡めとられ、一部は廃墟の体をなしている。