ギュっ。
 引き金が引かれた。
 その瞬間、私は反射的に両手を前にかざした。
 水鉄砲から出た水は一直線で陸くんに向かい、顔を直撃……?!せず、突如向きを
変え、アッキーの顔に命中した。
「うわっ!?」「キャッ!」「えっ?」「あっ!」
 四種類の感嘆の声が上がる。

「うおっ。スゲーっ。来たー来たー。みんな見たか、今の? スッゲーっ、スゲー。
陸。お前、エスパーだったんだ」
 ずぶ濡れの顔でアッキーが大はしゃぎだ。
「いや。違っ! 僕はやってない」
「んなことねぇって。今のは絶対にお前のやった超能力だよ」
「いや。僕じゃない。今のは……、今のは天野さんだよ」

 へ!?
 陸くんの口から、いきなり私の名前が出たのでビックリした。
「い、いま。水が出る瞬間……。天野さんが、手を動かしてた」
 え、えーっ? 私、そんなことしたっけ?
「……私も見た」シーちゃんが私を凝視しながら同調する。
 う、裏切りモノ。
「そういえば……、そうかも」アッキーがそう言いながら、私の方を向く。
「そうだよ。見たろ、皆も。水を弾き返したのは、僕じゃなくて、天野さんだ」
 シーちゃんとアッキーが腕組みして、私と陸くんの顔を見比べる。