「だとしても、実験に協力してくれないかな。一つ一つ可能性を潰していったらば、
真実に行き当たると思うんだ。俺は、あの不思議な現象が何なのか知りたいんだよ」
 アッキーが至って真面目な口調で、心情を吐露する。
 それに対し、陸くんは観念したように
「分かった。実験には協力するよ。まぁ。僕は無関係だって証明されるだけだけど」
 と呟いた。

 それでは早速。と、アッキーが陸くんに雨合羽を着せる。
「雨でもないのに、どうして雨合羽?」
「後で説明するって」
 陸くん、覚悟を決めたのか、されるがままだ。
 アッキーが陸くんを椅子に座らせ、その右側に私を座らせる。
 続いて、鞄の中から、件の水鉄砲を飛び出す。
「実験には、この水鉄砲を使うんだ。人間、咄嗟の時には……」
 と、アッキーがそれらしい説明を始める。
 この説明の間に、陸くんに不意打ちで水をかける気だ。
 アッキーが私に水鉄砲の銃口を向ける。
 話をつづけながら、アッキーが素知らぬ風で水の出る向きを陸くんに合わせる。
「……火事場の馬鹿力なんて言葉もあるし……」
 アッキーが引き金に指をかける。
 私の肩に力が入る。