「それで……、こんなとこに僕を呼び出して、何をしたいわけ?」

 放課後、帰り支度をしている陸くんを呼び止め、急用があるからとAI部の部室に
同道してもらった。
 部室で待ってたシーちゃん、アッキーとお互いに名乗りあい、それでは、となった
所で、陸くんが発した台詞が、冒頭の言葉である。

 それに対して、アッキーもシーちゃんもダンマリを決め込む。
 やっぱり、言い出しっぺの私が仕切るしかないか。と思って重い口を開く。
「実は、陸くんにある実験に協力して貰いたいの」
「実験? なんの?」
「それが……」一瞬、次の言葉を躊躇し
「……超能力実験なの」と続ける。

「超能力実験?」陸くんが露骨に嫌な顔をする。
「それって、僕が中二病とか言われてるから、出来もしない超能力をやらせて、皆で
面白がるわけ?」
 うう、えらく卑屈だな陸くん。
 などという思いはおくびにも出さず、
「そうじゃないの真面目な実験」と出来るだけの真剣さをもって言葉を続ける。
「……」陸くんが怪訝な顔で私を見つめる。
「昨日、菅谷用水沿いの坂で、陸くんが車に轢かれそうになったでしょう。あの時、
自動車が宙に浮くのを見たの、私達三人とも」
「……」陸くんの眉間の皺が深くなる。
「それで、誰かが超能力を使ったんじゃないかって話になって……。あの時、そこに
居たのは、私達三人と陸くんだけ。で、私達三人は実験の結果、エスパーではなさげ
なんで……」
「で、僕が疑われてるって事ね」
「疑ってるっていうか……。何が起こったのかを知りたいの……」