「佐藤陸ってアレか? あの車の下で伸びてた奴?」と否定的な口調のアッキー。
「伸びてた訳じゃないでしょ。だって、自分の体をカバーする体勢とってたもの」
と弁護してあげる。
「うぅぅぅむ。違うような気がするなぁ」とアッキー。
「私も、違う気がする」シーちゃんが同調する。
 あれぇ。良い目のつけ所だと思ったのに、誰も賛同してくれない。
「なんで、そう思うの?」と食い下がる。
「何でって言われてもな。何となくの雰囲気? アイツ、芯が無いというか、覇気が
ないというか。凄く影が薄くてさ、超能力なんかとは真逆な感じ」
「私も同じ印象。無口で友達がいなくて、そいでもって中二病。そんな感じ」

「でも、印象だけじゃ分からないでしょ」
「うーむ」
「ウーム」
 考え込む二人。
「とにかく、試しに実験してみましょうよ」と粘ってみる。
「でも、俺、アイツのこと知らないしな。どうやって声かければ良い?」
「私も……。まさか、初対面で超能力の実験をしたいとも、言えないもんねー」
 と二人が尻込みするので、
「じゃあ、私から頼んでみる。今朝、陸くんと少し話をしたんだ」
と、私が交渉役を引き受けた。
 こうして、この日の放課後、陸くんを交えて、超能力実験をする事になった。