「ちょっと、ちょっと。あんたたち。理系の話ばっかりじゃなく、私に分かるような
文系の話してよ」
 それまで沈黙を守っていたシーちゃんが割って入る。
 私とアッキーが顔を見合わせる。
「うーんとぉ、それじゃ……」とアッキーが頭を絞る。
 暫くして、アッキーが「ふっふっふっ」と不気味な笑い声をあげ
「うちの高校の七不思議。旧校舎一階の女子トイレ。その一番奥の個室には……」
 と恐ろし気な声で話を始める。
「馬鹿バカ! なんで、そんな話するのよ! 私が怖がりだって知ってるでしょ!」
 シーちゃんが、凄い剣幕でアッキーの肩をゴスゴスゴスと殴る。
「ウワっ、止めろって。こっちの方が怖い。分かりました。もう、しません。許して
ください。ごめんなさい」
 アッキーが平謝りして、漸くシーちゃんの怒りは収まった。

 愉しくも騒々しい掛け合いのうちに昼食を食べ終える。
「それじゃ、やろうか」とアッキーがあらたまる。
「えーっ、本当にやるのー?」シーちゃんが渋い顔になる。
 一体全体何が始まるんだろうか?
 ウオッホン。とアッキーが咳ばらいをし
「これから、超能力実験を行います」と厳かに宣言する。
「超? 能? 力?」
「ごめんね、美幸。この人、言い出したらきかなくてさ」
 とシーちゃんが済まなそうに、私に目配せをする。