「天文部と天体部って何処が違うのよ。それに、イーハトー部なんてノリで付けたと
しか思えない」
「まあ、実際ノリなんだ。声が大きくて行動力のある人が『ホニャララ部を作ろう』
って話になるだろ。それで人が集まり、予算も部室も取ってワイワイやるんだけど、
言い出しっぺが卒業すると同時に雲散霧消。で、空いた部室を次の人が利用する」
「じゃぁ、ここにある物は、歴代の廃部した部の遺産なのね」
「そう」
「このロボット犬とか動くの」
「直せば動く」
「じゃぁ、無線機は」
「直せば使える」
「直せばって、全部使えないってこと?」
「天体望遠鏡は使える。……多分」

「本当? じゃぁ、あれ見れるかなぁ。お父さんに聞いた話だけど、何週間後だかに
小惑星同士の接近遭遇があるんだって」
「知ってる。でも、この望遠鏡で見えるかな? 大型望遠鏡でも、ゴミみたいにしか
見えないよ。それに、接近遭遇と言っても、何十万キロも離れてるから同じ視野内で
同時に見えるかどうか、わからない」
「そうなんだ……、残念」