「美幸さん。今、言ったように。エスパーは僕なんだ。セルベルクに行くのは僕一人
だけでいい。美幸さんは、このまま地球に残って欲しい」
 そうか。陸くんは、初めから自分一人でセルベルクに行くつもりだったんだ。
 だから、私の身の安全は保障すると、繰り返し言っていたのね。
 
「美幸さん。君は、昨日ここに来た時の私服に着替えて欲しい。船内服はトリフネに
持ち帰る。トリフネの痕跡がここに残っていては、不自然だからね」
 私は、陸くんの言に従い、AI部室の着替えスペースで普段着に着替え、船内服を
彼に手渡した。
 陸くんは、私の船内服を受け取ると、何故か悲しそうな顔になった。
 私は、その表情の意味が理解できず、陸くんの瞳を覗き込んだ。