「こうして、僕はソラシドレスキューの活動に本腰を入れるようになった。そして、
運命の日を迎える。セルベルクがやって来たんだ」
 セルベルク。その名を聞くと背筋が寒くなる。

「地球に衝突して破滅を招く天体、セルベルク。その時、僕は自分の生まれた意味を
悟った。僕はセルベルクの脅威から地球を守るために生まれて来たんだって」
 陸くんの瞳に力強さが宿る。
「地球に生命が誕生したのは42億年前。その後、生命は進化と絶滅を繰り返して、
発展してきた。だけど、その絶滅には多くの場合、天体の落下が関係している」

 2億5000万年前。古生代・ペルム紀末。
 南極ウィルクスランドに堕ちた隕石による絶滅。
 1億9000万年前。中生代・三畳紀末。
 北米マニクアガンに堕ちた隕石による絶滅。
 そして、6500万年前。中生代・白亜紀末。
 ユカタン半島チュクシュルーブに堕ちた隕石による恐竜の絶滅。
「天体の落下のたびに、生命は大きな打撃を受けて来た。その脅威に対して、生命が
出した答えが人類であり、僕なんだ。天体の落下を事前に予測するため、知能を発達
させた人類を造り出し。天体の軌道を変えるため、超能力を持つ人間を生み出した」
「……」
「僕がこの時代に生まれたのが、偶然なのか、或はプログラムされたものなのかは、
分からない。でも、僕は今日のこの日のために、超能力を持って生まれてきたんだ」
 陸くんが決意のこもった言葉を口にする。
「だから、谷田部首相からソラシドレスキューへの救援要請を聞いたとき、僕は心を
決めたんだ。セルベルクへ飛ぶ事を」