ソラシドレスキューは始めるために、僕は細心の注意を払う必要があった。
 超能力の存在は公表しても、僕達の素性が知られてはいけない。
 それに、エスパーはあくまでも美幸さんでなくちゃいけない。
 バリアやステルス、サイコメトリ会話やシンクロを編み出し、事実をごまかした。
 神経を磨り減らす毎日だったよ。

 でも、ソラシドレスキューが出動して、人命救助に成功した時は正直嬉しかった。
 それまで、忌避の対象にしかならないと思っていた超能力が、人から喜ばれた。
 僕の心も踊ったよ。
 でも、不安もあった。
 僕らの真剣な想いが伝わらない人が居るんじゃないか、斜に構えて僕らを揶揄する
人が現れるんじゃないか。
 その不安は的中した。
 僕らの事を、「いいね」を稼ぐ手段としか思ってない人間に、騙されてしまった。

 見世物扱いされるくらいなら、ソラシドレスキューなんて、止めよう。超能力は、
世間から隠しておいた方が良い。そう、思った。
 だけど、僕の心に、自分でも予想していなかった思いが湧きあがった。
「美幸さんを、悲しませたまま、終わってはいけない」って。
 だから、救援要請の相互検証を考え出した。
 そのおかげで、救援要請の信頼性が上がった。ソラシドレスキューの活動も順調に
運ぶようになった。