―大丈夫。僕に考えがある。君の身の安全は保障する。セルベルクも堕ちはしない―
 このミッションを請ける前に、陸くんはそう言った。
 トリフネでセルベルクへ行くことは可能でも、そこから地球に戻る術は無い。
 陸くんは、矢田部首相に対して、そういう意味の事を言っていた。
 セルベルクの軌道変更ミッションを成功させつつ、どういう手立てで私達は地球に
帰還するのだろう。
 私を落ち着かせるための単なる気休めの言葉なのだろうか。
 いや、そんな事はない。今まで、陸くんは数々のアイデアでソラシドレスキューの
問題を解決してきた。
 今度だって、何か考えがあるに違いない。
―周りには秘密で、事を進めたい―
 陸くんは、そうも言っていた。
 きっと、何かがあるんだ。取って置きの解決策が……。

 けれど、その解決策が何を意味しているのか、この時の私は知る由も無かったので
ある。