原口局員が、私達に向き直り、力を込めて言葉を続ける。
「ここに解決の糸口があります。セルベルクが月に接近する際、もしも、月の重力を
より強く受けたならば……」
「更に軌道が変わって、地球との衝突を免れる可能性がある……」
 陸くんが、原口局員の言葉を待たずに、結論を口にする。

「その通りです」原口局員が同意する。
「でも、どうやって? 多分、僕達の念動力を期待してるんだと思いますが、地球上
から念動力を送っても、セルベルクに対しは、ほとんど影響を与えない筈です……」
陸くんが疑問を口にする。
「そうです。ですから、あなた方にはセルベルクに行って貰います」

 私達がセルベルクに行く?
 原口局員の言葉の意味が分からず、私と陸くんは顔を見合わせた。