「ソラシドレスキューです。首相からの救助要請があったので、伺いました」
 陸くんが代表して来意を告げる。
「ありがとう。お二方の活躍は、報道で拝見していました。是非とも、君達の超常の
力が必要です。早速で、申し訳ないが、お二人の名前を教えて頂きたい」
 丁寧ながら、有無を言わせぬ圧迫感がある。
「名前は、……秘密なんです」と躊躇すると
「名前を秘密にしたいのは分かりますが、意思疎通のためには必要です。秘密は必ず
守ります。名前を教えて下さい」
 その言に否やはない。
「陸」「美幸」と名乗りを上げる。
「分かりました。ありがとう。本来なら、ここで遠来の労を労いたいところですが、
状況が切迫しているので、すぐにミッションの説明をします。こちらへ……」
 谷田部首相が、奥にある別室に私たちを紹じ入れる。

 奥の部屋は、6・7人が入れる会議室だった。
 前方に大きな壁掛けモニタがある。
「原口くんを呼んでくれたまえ」
 谷田部首相が、部屋に備え付けのインタホンで人を呼んだ。
 程なくして、ドアをノックする音が聞こえ、40絡みの人物が入って来た。
「こちら、このミッションを統括している原口くん。こちらはソラシドレスキューの
陸くんと美幸くん」
 谷田部首相がお互いを紹介する。
「宇宙開発局の原口です。このミッションの統括責任者です」
「美幸です」「陸です」と名乗り合う。

「早速だが、話を始めましょう」
 首相に促されて、椅子に座る。
 とてもフカフカで座り心地が良い。と、妙なところに感心する。
「まずはじめに。これから話すことは、極秘事項です。決して他言しないように」
 谷田部首相が真剣な顔付きで念を押す。
 私達は固唾を飲んで、首相の次の言葉を待つ。
 首相は眉をしかめ、搾り出すように声を出す。
「セルベルクの落下地点は特定されています。日本時間8月31日午後6時32分、
セルベルクは関東地方に落下します」