制服姿のリーダー格の男が、私達に対して敬礼し
「ソラシドレスキューの方ですね。お待ちしておりました」
 と堅苦しく挨拶する。
 なんと返して良いか分からず、ハァ、ハイ、と曖昧な返事をする。
「早速ですが、首相がお待ちです。こちらへ」
 リーダー格が先にたって歩きだす。
 他の面々は私達を護衛するようにぐるりを取り囲んで歩く。

 建物の内部に入り、三階、二階と階段を降りる。
 階段室から廊下に出て、暫く歩いて『セルベルク対策本部』と書かれた部屋の前に
案内された。扉の両側には重装備の警官が二人立っていた。
「ソラシドレスキューのお二人をお連れしました」
 先導役がドア脇に設えられたインタホンで来訪を告げる。
「お通ししろ」と応答があり、ドアが内側に開く。
「我々は、此処までです。中で、首相がお待ちです」と告げられた。

 部屋の中は二十人程が座れる会議室だった。
 しかし、そこには、私達を紹じ入れてくれた背広姿の男性以外、誰も居なかった。
「首相はこちらです」
 背広姿の男性が先に立って歩き出す。
 会議室の奥には別な扉があり、背広姿の男がその扉をノックする。
「どうぞ」と部屋の主が応じる。

 背広姿がドアを開け、私達に入室を促す。
「失礼します」
 遠慮がちの声とともに部屋に足を踏み入れる。
「お待ちしていました。よく来てくれました」
 満面の笑みを湛えた谷田部首相が出迎え、順番に私たちの腕を握りしめる。
 しかし、その笑みの下にある窶れの色は隠せない。
 世界が終わるかもしれないのだ。
 その事を改めて噛み締める。