漸く、目的地である九州南端の島影が現れる。高度を下げる。
 島の南東部に開けた場所があるのが分かる。あれが目指す南九州宇宙センター。
 私の父はここで宇宙服の開発に携わっている。だから、このセンターについては、
父から聞いて知識がある。
 南九州宇宙センターは、元々ここにあった宇宙基地を有人月ロケット計画のために
拡張したものだ。
 ロケット発射施設、ロケット組み立て棟、管制塔、その他、宇宙飛行士の訓練所や
有人ロケットのための研究施設が併設されている。

 海岸に隣接するように、宇宙センターが見えてきた。
 高さ百メートルほどの建物が目に入る。窓はなく、一方の壁面に大きな扉が設けて
ある。その扉から、建物内のロケットの姿が見える。月ロケットのトリフネだ。この
建物自体が、ロケットを組み立てる施設になっているのだ。
 そのロケット組み立て棟から、海側に太い道路が伸びている。その道路は、途中で
二本に分かれ、終端には、それぞれ二本の鉄塔が建っている。ロケット発射台だ。
 敷地の山寄りの場所には、三階建ての建物が見える。発射管制棟だ。
 その奥に、工場のような平屋の建物が三棟続く。飛行士の訓練施設と研究施設だ。

 さて、ここまでやって来たものの、どうやって来訪を告げれば良いのだろう。
 谷田部首相からは、至急の呼び出しを受けたけれど、連絡先を知らせてない。電話
など殆ど通じない。
 それならばと、ステルスモードを解除してセンター上空を何度か旋回していると、
三階建ての建物の屋上に何人かの人が現れて、私達の方に手を降り始めた。
 そうか、あそこに降りればいいのね。
 と、人々の待つ屋上に降り立つ。