はたと陸くんが歩を止める。
 なんだろうか。今の話の流れで、私を新人類だと思って、敬遠してるのかな?
「どうしたの」
 恐る恐る尋ねてみる。
「気になる事があるんだ」
 なになに、私が新人類だから嫌いになったとか?
「何が……気になるの」と重ねて聞いてみる。

 それに対して、陸くんは遠くの空を見ながら、こう答えた。
「超能力が人類の進化として、何故、今なのか?」
 良かった。私の事を嫌っているのではないようだ。
 けれど、陸くんは深い憂いの顔のまま、夕暮れの空を見続けている。
 私には、陸くんが何に心を馳せているのか、理解することは出来なかった。

 夕焼けの空が血を流したように赤黒い。夕日が、高い位置で雲に飲み込まれていく。
 明日は、天気が下り坂になる。
 そんな予感がした。