「いったい何の話? アッキー達は居なくて良いの?」と陸くんが応じる。
「えーとね……、その……、あっ。空を飛んでる時の、ナビの仕方についての話」
 と出まかせ。
「ナビの仕方……」陸くんが首を傾げる。
 その陸くんに向かって、シーちゃん達に気取られぬようにウインクを送る。
 その行動が更に謎を生んだようで、傾けた陸くんの首の角度が増々深くなる。
 陸くんは、今朝のキス未遂事件を知らないんだから。私が、シーちゃん達を、二人
きりにしようとしている思惑など、分かる筈がない。

「それなら、二人で話して貰うのが良いかな」シーちゃん。
「そうだな」とアッキーも同調する。
「そうそう。はい、それじゃ。二人は先に帰ってね」
 と無理矢理にシーちゃん達を追い出した。
 納得のいかない顔のまま、二人が部室を後にする。その様子を、部室のドアの隙間
から見送る。
「頑張ってね。シーちゃん。アッキーも……」と心の中で応援する。
 キスって、頑張ってするものなのかどうかは、未経験の私には分からないけれど。