ハンカチで汗を拭いながら、学校への道を急ぐ。
 夏休みも終わりに近いので、一時ほどの熱さでないけれど、それでも汗は納まって
くれない。
 本当は、もっと早くに家を出る筈だった。
 だけど、今朝に限って、お母さんの「アレやって」連鎖に絡み取られた。
「ついで」「ついで」の用事に追いまくられて、家を出るのが二時間遅れた。
 ほんと、人使いが荒いんだから、お母さんは……。

 さあ、急がないと。陸くんたちが待っている。
 その先には、ソラシドレスキューの救援を待っている人たちがいる。
 急いでAI部の部室に行かないと。
 そんな思いで足を速める。

 いつもと違う時間に登校しているためか、同じ道を歩いているのに、何かが違う。
 どこか?
 と言われても、自分でも上手く説明できない。
 何かが、昨日までと違う。そんな気がしてならない。
 それとも、この暑さのせいで、そんな風に思うのだろうか?

 違和感の理由が分からぬままに学校についた。
 夏休み中なので、遅刻という訳ではないのだが、先に来ている筈のシーちゃん達に
面目ないので、足音を忍ばせてAI部の部室に近づき、中の様子を伺う。
 聞き耳を立ててみたが物音がしない。話し声もしない。
 私が来ないんで、皆帰ってしまった?
 まさかね……。
 まだ、午前中だし。私が来ないなら来ないで、携帯に連絡すればいいだけのこと。