カァー。バサバサバサッ。
 二人の間を跳ねまわていたネロが、一言鳴いて飛びたった。
 ネロは、塔の明り取りの窓に止まり、そこから、塔内に張られた梁に飛び移る。
 ネロは梁の上で、何かを啄む動作を幾度か繰り返し、やがて、陸くんの傍らに舞い
降りてきた。
 その嘴には、陸くんの探していた『お守り』が咥えられていた。
 黒くて細長い石。表面はツルツルして鈍く光っている。両端に穴が穿たれて、紐が
結び付けられている。その紐で首から下げるだろうが、残念ながら切れていた。
「ありがとう、ネロ。お守りを見つけてくれたんだね!」
 陸くんが歓喜の声をあげる。
 陸くんが、お守りを首にかけ、後ろ手で紐を結ぼうと試みる。
「私が結んであげる」と手を貸した。
「ありがとう。美幸さん」
 陸くんが立ち上がり、
「さあ、帰ろう」と帰還を促す。
「でも、わたし、超能力は使えないよ」
「もう、使えるようになってるんじゃないかな」
「?????」
「えーと、その……。このお守り、ラッキーアイテムだから」
「(ますます)?????」
「と、とにかく、一度試してみよう」