その後、何をやっても超能力は発動しなかった。
 超能力での脱出は諦め、スマホでシーちゃんに連絡をとろうとしたが、電波状態が
悪いのか繋がらなかった。
 私も陸くんの隣に体育座りすることになる。

「どうしようか」と陸くんに尋ねてみる。
「助けを待つしかないね。誰かが近くを通るのを待とう」と、言われた。
 けど、この辺りは人が寄り付かない場所。助けなど、いつになったら来るのやら。

「ねえ。天野さん」膝に埋め顔を上げ、陸くんが口を開く。
「なに?」と聞き返す。
「もう止めにしないか」
「何を?」
「ソラシドレスキューだよ」
「……」
「僕らが幾ら懸命に働いたも、さっきのような奴らは必ず現れる。僕らの気持ちは、
奴らには伝わらないんだ。他の人達も、僕らを便利な道具としか思ってない。こんな
事、続けるだけ無駄だよ。それに、超能力はもう使えないよ、きっと」
 陸くんが、こんな事をいうのは、半ば予想していた。
 私だって先程の事件はショックだ。世の中の、ソラシドレスキューに対する感謝の
念も、薄れて来ている事は分かっている。
 でも、他人にどう思われようと、私はソラシドレスキューを続けていきたい。そこ
に、助けが必要な人がいるのなら。
 そんな思いを込めて陸くんを見つめる。
 その心が届いたのかどうなのか、陸くんは再び膝に顔を埋める。