二人して、辺りを隈なく探したが、お守りは見つからなかった。
 余程落胆したのか、陸くんは体育座りして膝に顔を埋めている。
「陸くん。あの……、探し物は探し物として、一旦ここを出て、皆の処に戻らない?
皆、心配してると思うよ」
 それを聞いて、陸くんは、ああ、と気のない返事を返す。
 どうしたんだろう、陸くん。
 でも、ここに留まってはいられない。
 さあ、行こう。と陸くんをたちあがらせ、いつものように陸くんの後ろに周って、
離陸の態勢に入る。

――上へ――
 と念じてみる、体はピクリとも動かない。
 あれ? あれ?
 何度やっても同じだ。
 試しに念動力で、ガラクタを動かそうとしてみたが、こちらも動かない。
 超能力が使えなくなった?

 飛行中に飛べなくなったのと同じ現象だ。
 さっきは、疲労が原因だと思ったけど、少し時間があいたので、今は元気だ。
「どうしたんだろう? 私。超能力が使えない」と呟くと
 陸くんは諦めたように首を振ると、体育座りのポーズに逆戻りした。