スピードを上げる。追手もスピードを上げる。
 急上昇。急下降。右旋回、左旋回。
 ヘリプレーンは的確に追従してくる。振り切れない。

「どうして、追って来れるんだろ。ステルス飛行で、私達は見えてない筈なのに」
「レーダー装備なんだ。このままだと、僕らの生活拠点までついて来てしまう」
「どうすれば……」
「地形を利用して振り切ろう。しっかり掴まって」
 それまでは、飛行中は陸くんの腰に軽く手を添えている程度だった。
 掴まってと言われたので、陸くんの腰に手を回し、後ろから抱き着くようにする。
「もっと、しっかり掴まって」
 そう言われて、陸くんを後ろから抱きしめる。
 うっ。陸くんの背中に、胸が当たってるかも……。なんだか、恥ずかしい。
 って、そんなこと言ってられない。

「降下する」
 その言葉も終わらぬうち、急降下が始まる。
 私の口から、悲鳴が飛び出す。

「ウウウゥゥゥ――――――――――――アアアァァァ―――――――――――――
――――――――心臓が口から飛び出しそうだァァァ――――――――――――――
――――そいえばァァァ――――――――大変な事を思い出したァァァ――――――
―私はァァァ――――――――――――――――こんな―――絶叫系がァァァ―――
――大嫌いだったんだァァァ―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――」