「止めてください!」私はマスクを押さえて抵抗する。
「止めろ」陸くんが叫びながら、女の腕を掴み、女の指をマスクから離そうとする。
 私達を取り囲んでいた救急隊員風の男たちが、一斉に陸くん躍りかかる。
 この人たち、救急隊員じゃない! グルなんだ。
 
「私達には、知る権利がありまーす」レポーターが理不尽か言葉を吐く。
 多勢に無勢。このままでは、マスクが剥がされる。
――バリア。拡大――
 陸くんの言葉が頭に浮かぶ。同時に、念動力のバリアを張って、思いきり広げる。
 うわぁっ。
 私達に取り付いていた人たちが、弾き飛ばされる。
 突撃レポーターの槍杉が、ストレッチャーから落っこちて、
「ぼ、暴力反対」と声を上げる。

 何よ。そっちが、先に乱暴をはたらいたんでしょ!
 と思う間もなく、――飛ぶ!――という陸くんのイメージが頭に飛び込んでくる。
 間髪入れず、陸くんと一緒に飛び上がる。
 下では突撃TVの撮影隊が何事か喚いているが、そんなの無視。
 急上昇。一秒でも早く、ここから離れなくては。

 ヴゥオ――――。バラバラバラバラバラ。
 校舎の影から轟音を立ててヘリプレーンが姿を現した。
 私達は、上昇から水平飛行に映る。
 飛びたったヘリプレーンも、ローターの向きを前方に変え、水平飛行になる。
「私達を追いかけるつもり?」
「振り切ろう」